ピアノ講師の私にとっても生徒様にとっても、初めての経験であるコンクール。当教室からは年長のMちゃんが挑戦いたしました。Mちゃんがピアノを習い始めて2年、幼児部門への出場の打診をしたらすぐに「出る!」とやる気を見せてくれました。

Mちゃんが選曲したのは「おさんぽ」(轟千尋作曲)。綺麗な曲調が気に入り即決。毎日練習をしてくれていました。レッスンでは、今まで気にしていなかった手首の動き、呼吸、音の強弱、曲のイメージなど、数ヶ月も同じ曲を弾き続けるからこそ挑戦できる様々なことに取り組んでいき、みるみる上達していきました。私が指導しなくても、お母様と手首の動きを研究してくれたり親子で1曲と向き合ってくださいました。10月の地区予選では立派な演奏で、見事に東京ファイナルへ進出です!

11月の東京ファイナルへ向けて、Mちゃんは「ふしぎなポケット」(渡辺茂=内藤雅子作曲)に曲を変更。明るく元気な曲にチャレンジしたいという自らの選択でした。なんと予選後1週間で譜読みをしてくれて、東京ファイナルへのやる気MAXです。ファイナルまでの時間は限られていましたが、曲のまとまり、強弱やテンポを中心にたくさん練習をしました。お母様もレンタルスタジオや屋外ピアノでの練習や、他の生徒様に演奏を聴いてもらったりと、様々な環境での練習の機会を与えてくださいました。おかげでメンタル面もバッチリ!自信を持って東京ファイナルへ挑戦です。

さぁ、いよいよ東京ファイナル本番の日、私も応援に向かいました。会場はベルサール虎ノ門。東京の素敵なホールで弾けることも楽しみの一つですね。ドレスアップした出場者達、広い会場にたくさんのお客様、コンクールの雰囲気に、お母様の方が緊張していたような気がします。Mちゃんが出る幼児部門には、110人を超える出場者がエントリーしていました。

たくさんのお友達に見守られながら舞台袖に向かうMちゃんは、思ったよりも落ち着いていて、自分で心臓のドキドキを押さえたり、イメージを膨らまして舞台袖でもお膝の上で練習する姿からは、今までの練習の成果を披露したい気持ちが、しっかりと伝わりました。本番は練習以上の素晴らしい演奏をしてくれて、嬉しそうに舞台から帰ってきました。そのお顔はやり遂げた達成感のある可愛い笑顔でした。

お友達と迎えた結果発表。優秀賞や銅賞、銀賞と発表される中で不安げにしているMちゃん親子でしたが、なんと最優秀の金賞の最後の最後にMちゃんが呼ばれ、感激の瞬間を味わいました!自信に満ち溢れた表情で壇上に上がり、一番大きなトロフィーをもらって「人生で一番嬉しい!」と言ってくれました。

通常のレッスン曲とは違い、コンクールでは数ヶ月同じ曲を練習し、様々な工夫と練習をして自分のものにしていかなければいけません。「遊ぶのも我慢したし、ケンカもしたけど、頑張って良かったね!」とコンクール直後に話していたMちゃん親子の会話に、この4ヶ月間、お母様と一緒に音楽と向き合って、素晴らしい挑戦をしてくれたことがはっきりと伝わってきました。コンクールは緊張する機会ではありますが、挑戦をすることで自信がつき、達成感や技術の向上、何より舞台上での発表は貴重な経験です。今回のコンクールでの金賞受賞は、小さなピアニストの大きな一歩になりました。Mちゃん親子とこのコンクールに挑戦したことは、私にとってもとてもいい思い出になりました。

Mちゃん、本当におめでとうございました!!